2003年8月9日(土)から11日(月)、ウエルとばたを会場に、「授業づくりネットワーク北九州2003 新時代の学力をつける授業づくり入門セミナー ―宇宙・未来・創造―」が開催されます。
そのなかで、
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■8月10日(日) 15:10〜16:40 ワークショップ2
M 宇宙を読む読書へのアニマシオン
講師:穴見嘉秀(九州大谷短期大学)
■8月11日(月) 10:15〜11:45 模擬授業による提案+ディスカッション
新・読書へのアニマシオン
授業者:穴見嘉秀(九州大谷短期大学) |
と、「読書へのアニマシオン」のご提案をする機会を2つほど与えられました。
2つの「読書へのアニマシオン」をそれぞれ別なものとして提案させていただくために、模擬授業のほうに「新」をつけさせていただきました。
この件について、説明します。
Animacion a la lectura(アニマシオン・ア・ラ・レクトゥーラ) は、「読書へのアニマシオン」と訳されています。
Animacion は、「元気づける」という意味を表す動詞animar(アニマール)の名詞形で、「元気づけ」「活性化」。
a は、英語でいえば to にあたる前置詞。「読書へのアニマシオン」であって、「読書のアニマシオン」でないのは、この a によります。 もし、a ではなく、ここが de であれば、これは英語の of にあたるそうなので、「読書のアニマシオン」と訳されるでしょう。
la は、冠詞。女性単数形の名詞につきます。
lectura は女性単数名詞で、「読書」と訳されてはいるものの、日本で考えられているような「読書行為」よりも幅広い意味を持つようです。「読書、教養、読書によって得られる教養、読解」などの意が含まれています。
したがいまして、 Animacion a la lectura とは、あえて訳せば、「読書という行為に向かっての元気づけ」ということになるでしょうか。
実は、“Animacion a la lectura”という題名の本は、モンセラ・サルトさんの本より前にも後にも数冊出版されております。
私は2001年12月10日から14日まで、スペイン・マドリードに行き、Estel文化協会(モンセラ・サルト顧問)主催の40時間におよぶ「読書へのアニマシオン セミナー」を受講することができました。その合間、スペインの書店にいき、現在日本で翻訳されている『読書へのアニマシオン 75の作戦』(柏書房)の原書"Animacion a la lectura con nuevas etrategias"(Madrid,Ediciones SM,1998)と、同じ「読書へのアニマシオン」の文言の入った、"Animacion a la lectura ?Cuatos cuentos cuentas tu_?"(Madrid,EDITORIALPOPULAR,1994))という本を購入してまいりました。
「読書へのアニマシオン」については、スペインの図書館員のなかには、<図書館での活動すべてを指している>と考えている人もいるし、モンセラさんが<最初にアニマシオンをはじめた人々のお一人であること>は認めるものの、実際に図書館でやられているもので<モンセラさんの作戦というのがどれだったか思い出せない>人もいるようです。
また、南欧諸国の「社会文化アニマシオン」運動との関連から、Animacion a la lecturaをとらえる人もいます。
昨年、第33回全国学校図書館研究大会横浜大会の分科会で発表された菊池一朗氏はこう説明されています。
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「アニマシオン」とは、人間がもって生まれた命・魂(ラテン語のアニマ)を生き生きと躍動させること、生命力・活力を吹き込み活性化させることを意味しています。
フランス、スペイン、イタリア等の南欧諸国で、経済成長期に人間的な生活を歪める危機的状況が生じたことに対抗して、人間本来の主体性と内面的な精神の活力や想像力を大切にし、生活、文化、社会を活性化させていく方法理念として生まれたものです。
教え、学ぶ営みであるエデュカシオンと違って、遊びや余暇や文化活動を通して、おもしろさ、楽しさ、歓びを追求しつつ精神を活性化させ、人間が豊かに成長していく独自の営みをとらえた概念であり、学ぶことや働くことをも根底から支える人間生活の根源的なエネルギーを生み出す機能とも言えます。
南欧諸国では、社会開発、文化、芸術、教育、福祉、スポーツ、余暇、娯楽、祭典など幅広い分野で使われている重要な概念だそうです。(増山均教授による) そのアニマシオンの理念を「読書」の分野に適用したのが「読書のアニマシオン」なのです。 |
しかし、現在、日本で広がっているモンセラ・サルトさんのグループがはじめられた「読書へのアニマシオン」は、「社会文化アニマシオン」の理念を「読書」の分野に適用し、誕生したものではありません。別の系譜をもちます。
1974年、ベルギーで開催された「国際カトリック児童協会の児童向け出版文学部門」の会議に出席したモンセラ・サルトさんたちグループは、スペインにもどって、「子供が深く読む力を引き出す」方策を考え始めます。1970年代後半から1980年代前半、モンセラ・サルトさんたちのグループ(当時は「グルーポ・デ・アニマシオン・ア・ラ・レクトゥーラ」と名乗られていました)は、自分たちがやっている活動を、「読書へのアニマシオン」という用語を使うこととにし、「アニマシオンとは、ある具体的な本に、知性と感情の両方の面から、意識的に近づいていく行為をいいます。このように本と接するうちに、本一般を尊重する気持ちを生み出すことです」という定義(カルメン・オリバレス案)を採用します。これがモンセラさんたちの「読書へのアニマシオン」のはじまりなのです。
今年、私は「アニマシオンをするにはレクリエーション的な雰囲気も大切」と、レクリエーション・インストラクター養成講習会をうけています。同じ素材を扱っても、指導者の個性でいろいろと違うもんだと実感しているのですが、読書へのアニマシオンにおいても、それは言えるかもしれません(^_^)/
さて、スペインでは、増山氏や菊池氏のいう読書分野での「社会文化アニマシオン」も存在するのです。その一つが、前述した"Animacion a la lectura ?Cuatoscuentos cuentas tu_?"という本で提案されているものです。私は、スペインに行く前に、現場の教師が書いた「読書へのアニマシオン」の本も存在するということを、あるかたに聞いていました。それで、現地の書店に行ってみたわけです。この本はまさにその本でした。
ただ、モンセラさんの「読書へのアニマシオン」と区別しお伝えする必要があると思い、また混乱をさけるため、2002年度は、それほど世間にはご紹介しませんでした。2003年になり、新たに私の研究課題として、「読書へのアニマシオンを深めようと、翻訳会社や友人の協力を得て、つい最近、翻訳作業が終了しました。
2003年度、このもうひとつの「読書へのアニマシオン」が、日本の読書支援活動に有益であるかどうか、モンセラさんと同様日本に,紹介され、検証されてもいいのではないかと思い、ここにご提案させていただく次第です。モンセラさんたちの「読書へのアニマシオン」も無論すばらしいし、この本で提案されている「読書へのアニマシオン」もすばらしく、今後の日本での「読書へのアニマシオン」をより活性化させるのではないかと私は確信しています。日本人にとって、どういう「読書へのアニマシオン」が望ましいか、読書教育のありかたについてのディスカッションの材料になればと思います。
関心のあるかたのご参加をお待ちいたします。