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《2002年7月号No.204特集》

特集徹底入門! 討論・話し合い授業

話し合いが盛り上がる学習ゲーム
〜討論・話し合い授業の問題点を解決する三つの学習ゲーム〜

菊池省三(福岡・北九州市立香月小学校)

1 討論・話し合いの問題点

 学級での話し合い・討論や代表委員会での話し合い・討論の場面をよく見る。
 うまくいっている場合もあるが、ほとんどの場合は「失敗」しているように思われる。
 発言が論理的なものではなく、議論がかみ合っていないのである。だから、多くの話し合い・討論は盛り上がっていないのである。
 その主な原因に、
1) 意見に根拠が伴っていない。
2) 質疑が活発に行われない。
3) 意見を対立させることができない。

ということが考えられる。
 このような問題を解決する有効な方法に、学習ゲームによって、討論・話し合いを盛り上げる技術を身につけさせるということが考えられる。

2 討論・話し合いを盛り上げる技術を
身につけさせる三つの学習ゲーム

1.根拠のある意見を作り、その質を吟味させる『対戦型 二択ゲーム』

 このゲームは、「主張+理由」という相手を説得する討論・話し合いに必要な意見をたくさん考えさせ、その述べ方を経験させるゲームである。

(1)ゲームのやり方

 以下のようにゲームを進めていく。
  1. クラスを四つのグループに分け、二つのチームを対にする。
  2. 「小学校の昼食は、給食がよいか?弁当がよいか?」「小学校の図書室にマンガ本を置いてもよい。賛成か、反対か」で、チームを機械的に給食派と弁当派、マンガ本を置くことに賛成派、反対派にふりわける。
  3. グループでワークシートに意見を書く。一枚に意見を一つとし、何枚かいてもよいこととする。
  4. 先攻、後攻を決め、先攻チームから交互に一つずつ意見を述べさせる。理由一つに1ポイントとし、得点の多いチームが勝ちとする。

(2)ゲームの実際

 対戦チームが向かい合うように机の向きを変え、先攻と後攻をじゃんけんで決める。
 両チーム一人ずつ起立し、先攻から一つ目の意見を述べていく。
 教師はポイントを「正」の字で板書していく。初めの数回は、『今の意見は、何ポイントかな?』と、子どもたちと確認しながら進めていく。
 ゲームのやり方が分かってくると、両チームとも、対戦の途中でもワークシートを書き加えていた。
 子どもたちの考えた理由には、常識的に考えて実現の可能性が低いものもある。そのような時は、子どもたちとそれを確認してノーポイントとした。

(3)「対決型 二択ゲーム」の効果

 このゲームを経験することによって、主張だけでなく、きちんと理由づけをしたり、自分とは違う立場の意見と比較して考えたりすることができるようになる。

2.主張を支える根拠を探し出そうという意識を育てる
『対決型問答ゲーム』

 二人組みで、矢継ぎ早に次々と質問し、即座に答え合うというゲームである。

(1)ゲームのやり方

  1. テーマを決めて、教師と子どもで問答ゲームをする。
  2. 「答えは3秒以内で言う」「理由の数を増やしていく」というルールを入れて、二人組みで対決をする。
  3. グループ内で対決し合い、グループの代表者を選ぶ。
  4. 代表者同士でトーナメントをして、学級チャンピオンを決める。

(2)ゲームの実際

教師と子どもで問答ゲームをして、質問の仕方、答え方を教える。
○ 質問する人「あなたは、〜が好き(き   らい)ですか」
○ 答える人 「わたしは〜が好き(き らい)です。なぜかというと・・・だからです。

 子どもたちが慣れてきたら、次のようなことを確認しながら隣同士で対決をさせた。
☆ 質問する時に注意すること
  • 矢継ぎ早に次々と質問する。答えは3秒以内に言わせる。「3・2・1」とカウントダウンをして、相手が答えられない場合はアウトとする。
☆ 答える時に注意すること
  • 肯定、否定をはっきり言う。
  • 答えの最初に「はい」を入れない。
  • わたし(ぼく)を必ず入れる。
  • 答えに「何を」を必ず入れる。
 子どもたちがゲームに慣れ、理由の数をお互い一つずつクリアできたら、2個、3個と理由を増やしていくようにルールを付け加えた。
『あなたは宿題が好きですか』
「わたしは宿題が好きです。理由は三つあります。
 一つ目は、宿題をするとお母さんにほめられるからです。
 二つ目は、勉強ができるようになるからです。
 三つ目は、・・・」
『3・2・・・』
「三つ目は、毎日すると勉強する習慣がつくからです。

 その後、グループ内で対決し合って代表者を決め、トーナメント形式による勝ち抜き戦を行い、学級チャンピオンを決めた。

(3) 「対決型問答ゲーム」の効果

 このゲームを行うことによって、自分から意見の根拠を述べようとしたり、相手の意見の根拠を確かめようと質問したりするようになる。

3.反論をいろいろな角度から考えるようになる
『チョット待ったゲーム』

 ある主張が成立しない場合をいろいろ考えさせ、その数と質を競うゲームである。

(1)ゲームのやり方

  1. 遅刻をしてはいけない」という主張にたいして、「してもよい」場合をワークシートに書く。
  2. 得点表に従って採点する。
  3. 各班の合計点を出し、優勝班を決める。
  4. 各班「おすすめの反論」を出し合い、クラス最優秀反論を決める。

(2) ゲームの実際

「給食を残してはいけない」と板書して、次のように聞く。
『普通はみんなこう思うよね。でも、いつもそう思うかな?誰でもそうかな?』
すかさず子どもたちは、
  • 体の調子が悪い時。
  • もともと食べられない人
といった場合や人は、残してもよいと発表してきた。すべての意見を認め、
『今日は、「給食を残してはいけない」といった、普通は「そうだ、正しい」というような意見に、「いいや、チョット待った、そうじゃないよ」という意見をたくさん出し合うゲームをします。反論を出し合うゲームです。班対抗で勝負をします』 
と話し、以下のようなルールを説明した。
  • 反論を一つ書けたら1点。
  • 意味不明の文はマイナス2点。
  • 教師が考えていた反論が書けていたらボーナス点を5点プラス。
  • 合計点の多い班が優勝。
 その後、「学校に遅刻をしてはいけない」という意見に対して反論を書かせた。
 優勝班を決め、各班の「おすすめ反論」を発表し合い、クラス最優秀反論を決めた。
転校して来て初めて学校に行く時

(3)「チョット待ったゲーム」の効果

 このゲームをすることによって、相手の意図を考えた効果的な反論ができるようになる。

3 討論・話し合い授業の問題点を解決する学習ゲーム

 よく見られる討論・話し合い授業の三つの問題点を解決する学習ゲームを紹介した。根拠をはっきりさせて発言すること、その根拠を質問し合って確認すること、相手の意見に反論すること、この三つのポイントを学習ゲームで解決することができる。